東京の私立高校授業料を軽減する都政の意図はどこにある?

こんにちは。

2020年度から『私立高校授業料軽減策』の制度が変わりました。この変更によりどのような家族がどの程度の恩恵を受けるかを確認してみました。

私立高校授業料軽減策とは、国や都が返済義務のない奨学金を発行する制度です。その奨学金によって、多くの家庭が私立高校の授業料を無償で受けられるようになる制度になります。

私立高校授業料軽減策の対象

どのような家族が私立高校授業料軽減策の適用対象となるのかいくつかの条件があるのでそちらを確認しましょう。

私立高校授業料軽減策の対象年収

高校授業料軽減策が適用されるのは、年収が910万円未満の家族を対象となります。この年収の家庭においては、国と東京都の両方の就学支援金を合わせると、最大 461,000円の授業料が支給されます。

恩恵を受ける対象者は年収が910万円未満の家庭が対象です。あくまで目安であり、その他の条件によって適用対象となるケースもあるようなので、詳細は、東京都私学財団のホームページを確認いただいたほうが良いと思います。

3人の子供がいる家族も私立高校授業料軽減策の対象

年収が910万円を超えているご家庭でも、子供が3人以上いる場合は、年収にかかわらず一律59,400円が支給されるようです。

私立高校授業料軽減の恩恵を受ける世帯はどれくらい?

では、この制度でどれくらいの家族が私立高校の授業料が無料になるのでしょうか。

私立高校授業料軽減策で7割が無料になる

支給される金額の461,000円という金額は、都内の私立高校の平均授業料と同額です。この東京都の私立高校の平均授業料を目安に今回の制度変更で支給額の上限額が定められています。

従って、私立高校の授業料が461,000円未満の学校に通っている場合、私立高校の授業料が実質無料となります。

実際にどれくらいの学校が対象になるのかというと、東京都の7割の私立高校の授業料が461,000円以下ということです。平均なのに7割ってことは、残りの3割が授業料の平均を引き上げているということになります。

そして、その残りの3割は俗にいう難関私立高校に該当し、人数も少ないので、推測ですが、7割の学校ではありますが、学生数で言うと7割以上の生徒が授業料無償の恩恵を受けていることになると考えられます。

私立高校授業料軽減対象外の910万円未満の世帯はどれくらいか?

東京都民の平均年収はおよそ、610万円といわれています。私立高校授業料軽減対象は、世帯年収が910万未満と定義されているので、多くの家庭でこの制度の恩恵を受けられることが想像できます。ではなぜ、都は私立高校への支援をするのでしょうか。

なぜ都は私立高校を優遇するのか?

私立高校にも公立高校にも偏差値のあまり高くない高校は多く存在します。同じくらいの偏差値ならきれいな私立高校に無料で言ったほうが良いと都民は考えます。私立高校の平均授業料は年々上昇していて、都からの支援金もそれに合わせて増額されています。

すると、どんどん私立高校に税金が流れ込んで学校法人が私腹を増やします。これは都の狙っている施策なのでしょうか。

私立高校に行くには塾通いが必要

そもそも、私立高校に進学するにはそれなりの学力が必要となるため塾に通う家庭が多いと思います。中高一貫校であれば小学校の頃から塾通いをしている家庭もあると思います。

私立高校に授業料無料で通うためには、その前の塾通いで塾代のねん出が必要になります。でも、その塾通いができる家庭は、支援金がなくても私立高校に通わせることはできると思っています。

問題となる家庭は、私立に通うための塾通いをする塾代を払えない家庭をどうするかだと思います。そんな家庭への手当は具体的に出せていない気がします。そんな家庭は、偏差値低い都立に行くので、あまりありがた身がないのかもしれません。

強化すべきは私立高校ではなく都立高校では?

都立高校は196校あります。私立高校は235校校です。都立高校は毎年多くの学校が閉校しています。私立高校はそんなに簡単に閉校せず、支援があれば都民はみんな私立に流れます。

⇒参考:都立高校検索私立高校検索

都政が考えるべきは、私立高校に通える世帯ではなく、塾に行く費用を出すことも厳しい世帯への対処なのではないかと思います。そのために都立高校が存在しているべきだと思います。

都税は都立の為に使うべき!!

私立に通いたい家庭をサポートするのではなく、都立の高校自体の設備を最新にすることで、都立高校の魅力を上げて、都民に都立高校に進学させたいと思ってもらうことが、都政のやるべきことだと思います。

そして、都立高校の教員の質向上も必須だと思います。都立日比谷高校や西高校、新宿、戸山などの重点支援校に指定されている学校の教員とその他高校の教員の質のレベルがあまりにかけ離れているように思えます。

私立人気で都立が不人気なのは都政の問題

今のままでは、一層私立人気が高まるばかりで、都立の人気は下がってしまいます。私立授業料への補助なんかを始めたら都立衰退が加速してしまいます。都立高校の設備と教員の質を上げるために資金を投入して、都立高校の魅力を高める方向に物事を考えてほしいものです。

奨学金のように個々の家庭に恩恵のある支援ではなく、都の資産である都立高校への支援であれば、長期的な改革への投資となり、家庭の年収とか支援金の基準額などにとらわれることなく多くの都立高校に通う家庭に対して平等な支援になると思います。

Gotoキャンペーンとか、政治家の浮世離れしている理解しがたい政策一つ一つを見ていると、老後の生活を国に頼ってはいけないのだなぁと強く感じる今日この頃です。

>>やっちゃえGoTo!!とはならない政府の低い決断力

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